コラーゲンは体の中で分解される
バイオマテリアルとしてのコラーゲンのもう1つの特徴は、体の中で分解吸収されてしまうことです。体の組織の中には、コラゲナーゼというコラーゲンの三重らせん構造を分解できる酵素があります。また、マクロファージや好中球などの食細胞の中にもコラーゲンを分解する酵素があります。体の中に入れたコラーゲンは、ゆっくりとこれらの酵素の働きによって分解されます。目的によって望ましい分解吸収の速さは異なりますが、コラーゲンがどのくらいの速さで吸収されるのかは重要な問題です。色々な形に成型したコラーゲンを用いて作られているのですが、その際に分子間に人工的に橋かけを導入します。この橋かけの程度によって、コラーゲンの分解吸収速度をコントロールすることができます。
ドラッグデリバリーシステム
今までとはちょっと違ったコラーゲンの利用の方法です。病気になると薬を飲んだり注射をして、全身に広がっていきます。薬が全身に広がると、薬の濃度が薄くなることになります。患部で効果をあらわす濃度を確保するには、大量の薬を入れなければなりません。副作用の心配も出てきます。また、薬は腎臓や肝臓を経て、体の外に出ます。そのため、頻繁に薬を入れなければならないことになります。そこで、患部に優先的に薬を送りとどける方法や、薬の効果を持続させる方法が研究されるようになりました。これをドラッグデリバリーシステムとよんでいます。
コラーゲンのカプセル
薬の効果を持続させるドラッグデリバリーシステムは、薬を適当なカプセル等に包みこみ、そこから一定の速度で長時間にわたり薬を出す方法が考えられます。そこでコラーゲンの出番です。コラーゲンは色々な形を作ることができます。また、適当に体の中で分解吸収されてしまいます。ゆえに、ドラッグデリバリーシステムの材料としてすぐれた性質をもっています。コラーゲンのカプセルの形や橋かけの程度によって、どのような薬を、どの程度、どのくらいの速さで出していくのか決めることができます。